著者:一般社団法人埼玉県塗装職人協会 代表理事・中西祐介
戸建て住宅のリフォームに関するトラブルは、住宅リフォーム紛争処理支援センターのデータによると、1位が外壁、2位が屋根、3位が床に関するものとなっています。特に外壁と屋根は風雨や紫外線の影響を受けやすく、施工の品質が耐久性に大きく関わります。
では、なぜ外壁や屋根のリフォームでトラブルが発生するのでしょうか?その大きな要因は、手抜き工事や職人の経験不足による素材や工法の選定ミスです。

1.手抜き工事の典型的な事例
具体的には、以下のようなケースが見られます。
(1)塗装の工程を省略
- 本来、塗装には下塗り・中塗り・上塗りの3工程が必要ですが、中塗りを省くケースがあります。
- 一見すると仕上がりは変わらなく見えますが、耐久性に大きな影響を与え、数年で劣化が進む可能性があります。
(2)適切でない塗料の使用
- コスト削減のために、耐久性の低い塗料を使用する場合があります。
- また、外壁材や屋根材に適さない塗料を使うことで、塗膜が剥がれやすくなります。
(3)下地処理の不十分さ
- 汚れやカビ、古い塗膜を十分に除去せずに塗装すると、塗膜の密着が悪くなります。
- これにより、塗装後短期間で剥がれたり、ひび割れが発生する可能性があります。
(4)適正な厚みの確保不足
- 塗装は適正な厚みが必要ですが、材料費を抑えるために極端に薄く塗る場合があります。
- これにより、紫外線や雨風による劣化が早まります。

2.失敗を防ぐためのチェックポイント
施工の品質を確保するためには、工程を細かくチェックすることが重要ですが、一般の方が毎日現場を確認するのは難しいのが現実です。そのため、以下のような対策を取ることが推奨されます。
(1)施工記録を残す
- 施工業者に、毎日の作業内容を記録し、写真付きで報告してもらうよう依頼しましょう。
- これにより、適切な工程が踏まれているか確認できます。
(2)交換日記の活用
- 施工業者と施主の間で、日々の施工内容を交換日記形式でやり取りするのも有効です。
- どの作業が行われたのか、塗装の工程が適切に進んでいるのかを確認できます。
(3)信頼できる業者を選ぶには?
埼玉県塗装職人協会では、毎日の施工状況をお客様と交換日記で記録し、写真も毎日送付することで透明性を確保しています。これにより、手抜き工事を防ぎ、塗膜の耐久性を長持ちさせることができます。
外壁や屋根のリフォームは、住宅の美観だけでなく耐久性や防水性にも関わる重要な工事です。トラブルを避けるためには、信頼できる業者を選び、施工の透明性を確保することが重要です。しっかりとした施工を行う業者と契約し、安心してリフォームを進めましょう!




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