著者:一般社団法人埼玉県塗装職人協会 理事・北地隆男。
水性塗料と油性塗料は、塗料の希釈剤の違いにより分類されます。水性塗料は水で希釈し、油性塗料はシンナーなどの有機溶剤を使用します。それぞれに以下のような特徴があります。
1.水性塗料のメリットとデメリット
【メリット】
• 低臭性: 乾燥時に水分が蒸発するため、刺激的な臭いが少なく、室内塗装や住宅密集地での使用に適しています。
• 環境・安全性、道具の手入れが簡単: VOC(揮発性有機化合物)の排出が少なく、引火の危険性も低いため、取り扱いや保管が容易です。。DIY=自分でやるなら水性を選ぶべきでしょう。
• 道具の手入れが簡単:使用後の道具を水で洗浄できるため、メンテナンスが容易です。DIY=自分でやるなら水性を選ぶべきでしょう。
【デメリット】
• 耐久性の課題: 一般的に油性塗料より耐久性が劣りますが、近年は高耐久の水性塗料も開発されています。
• 乾燥条件への依存: 気温や湿度により乾燥時間が左右され、特に低温や高湿度の環境では乾燥が遅くなる傾向があります。 施工時期や天候を考慮することが重要です。
• 特定素材への密着性: 金属部分などには密着しにくい場合があり、適切な下地処理が必要です。

2.油性塗料のメリットとデメリット
【メリット】
• 高耐久性: 強固な塗膜を形成し、紫外線や雨風に対する耐久性が高いため、過酷な環境下、金属部分等の耐久性が特に求められる箇所に適しています。
• 美しい仕上がり: 均一で光沢のある仕上がりが得られ、刷毛跡やローラー跡が目立ちにくいです。
• 乾燥の安定性: 環境条件に左右されにくく、乾燥が比較的速いです。
【デメリット】
• 強い臭い: シンナーなどの有機溶剤を含むため、刺激的な臭いが発生し、換気や近隣への配慮が必要です。
• 健康・環境への影響: VOCを排出するため、シックハウス症候群や大気汚染の原因となる可能性があります。
• 引火性: 可燃性が高く、保管や取り扱いに注意が必要です。自分でやるDIYには向きません。

3.油性か水性か?選び方のポイント
• DIY及び室内塗装: 臭いが少なく、安全性の高い水性塗料が適しています。
• 屋外塗装: 耐久性が求められる場合、油性塗料が適していますが、近年は高性能な水性塗料も登場しており、選択肢が広がっています。匂いや近隣へ配慮したい方は屋外の塗装でも水性という選択肢はあります。
• 素材に応じた選択: 金属部分や特定の下地には耐久性が求められる油性塗料が適しています。 また近年の技術進歩により耐久性が向上した水性塗料でも、金属部分への密着性が低い場合があるため、適切な下地処理やプライマーの使用が必要です。

4.樹脂の種類(アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機)との分類
塗料は主成分である樹脂の種類(アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機など)と、希釈剤の種類(水性、油性)によって分類されますが、以下に各樹脂の種類それぞれの水性・油性バリエーションについて説明します。
【樹脂別の塗料説明】外壁・屋根塗装の用語集(全般)~用語説明シリーズ – 【公式】埼玉県塗装職人協会
➀アクリル樹脂塗料
• 水性: アクリル樹脂を水に乳化・分散させたアクリルエマルション塗料が代表的です。 エマルジョン塗料は、一般的に水性塗料を指し、樹脂を水に乳化・分散させたものです。
• 油性: 有機溶剤を使用したアクリル樹脂塗料も存在します。
➁ウレタン樹脂塗料
• 水性: 水性のウレタン塗料があり、環境負荷の低減や取り扱いの容易さから選ばれることがあります。
• 油性: 有機溶剤を使用したウレタン塗料も広く利用されています。
➂シリコン樹脂塗料
• 水性: 水性シリコン塗料は、外壁や鉄部の塗装に使用され、高い耐候性と低汚染性を持ちます。
• 油性: 有機溶剤を使用したシリコン塗料も存在し、耐久性と仕上がりの美しさから選ばれることがあります。
➃フッ素樹脂塗料
• 水性: 水性フッ素塗料は、超低汚染性と高耐候性を持ち、外壁などの塗装に使用されます。
• 油性: 有機溶剤を使用したフッ素塗料もあり、高い耐久性が求められる場面で使用されます。
➄無機塗料
• 水性: 水性無機塗料は、無機成分を主とし、高い耐候性と低汚染性を持ちます。
• 油性: 有機溶剤を使用した無機塗料も存在し、特定の用途で使用されます。

以下リンクでも樹脂種類別の塗料に関する説明をしておりますので、ご参照ください
フッ素塗料は20年もつと聞いたのに、なぜ10年で塗り替えるのか?
アクリル塗料は本当にダメ? いえ、こんなケースなら最適なんです!
外壁塗装で知っておきたい!アクリル塗料とアクリルシリコン塗料の違いとは?【埼玉県さいたま市】

4.有機塗料と無機塗料の区分との違い
(1)有機塗料と無機塗料の種類による分類
成分(主に樹脂)の違いによる分類=塗料の骨格となる樹脂の違い
有機塗料:アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの有機樹脂を主成分
無機塗料・ケイ素やセラミックなどの無機物質を主成分とする。ただし完全な無機は少なく、有機とのハイブリッドが多い。
(2)油性塗料と水性塗料の区分による違い
希釈剤(塗料を薄めるもの)=塗料を希釈・調整する溶剤による分類
油性塗料:シンナー(有機溶剤)で希釈
水性塗料:水で希釈
下記リンクの記事もご参照ください。
さいたま市の外壁塗装|無機溶剤と有機溶剤の違いとは? – 【公式】埼玉県塗装職人協会

以上のように塗料には、水性or油性? 無機or の有機? 樹脂(アクリルorウレタンorシリコンorフッ素等)の違いによる多くのバリエーションが存在し、用途や環境に応じて多様な選択肢があります。塗装箇所や目的、環境に応じて、これらの特徴を考慮し、最適な塗料を選択することが重要です。信頼できる塗装業者に相談しましょう。



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